谷口
上原さん
武岡のパン屋さんといえばTAK。パネットーネの撮影でお借りした道具を返す際に、 ONDOとの関わりや歩んできた道のりを聞いてみました。武岡の高台エリアにある黄色い壁のお店は、遠くからでもすぐにわかります。お店のまわりには植物がのびのびと植えられていて、きちんと手をかけられてい気配が。さりげなくお店のを引き立ててくれる美しい植栽、それは上原さんのお母様が世話をしているのだそう。たまたま駐車場でお会いした際に「とってもきれいですね〜」と声をかけたら、「趣味なの〜笑」とのことでした。とても和やかな雰囲気に癒やされました…。余談でした。ゆるやかなスロープをのぼり、ドアをあけると美しいパンが待っています。

Photographer:リアライズ中村一平 Props Styling:谷口かなえ


先日の撮影はありがとうございました。今日はお忙しいところ時間を合わせてくださり、ありがとうございます。よろしくお願いします〜!
いえいえ〜こちらこそです。いい感じに撮っていたいてありがたいです。早速、取引先に写真を送りました笑
中村さんに伝えておきます笑
今日はかくかくしかじかこんな話を聞きたいと思っています。馬頭さんも「上原さんに会いたいな〜 TAKのパン食べたいな〜」とつぶやいておりました。お二人はいつからお知り合いなんです か?
僕がすすむ茶屋の新原さんと同級生なんです。うちがオープンする1年前くらいにすすむ屋茶店が先にオープンして、いろいろ店について話しているときに「お店のロゴを作ってくれる人いないかな〜」と言ったら「すごくいいデザイナーがいるよ!若くていい感性を持っている人だよ!紹介するよ〜」ということで繋がった…という感じです。
すすむやの新原さん!最初はそこの繋がりだったんですね…!
最初に馬頭さんとしっかりお会いしたのは…どこで会ったんだろう…。
う〜ん。ONDOの事務所ですかね?
あ!そうそう!多分事務所…違ったらごめんなさい笑 ちょっと馬頭さんに聞いてみて。3 階まで階段を登った記憶はあるんですよね笑 そこで、馬頭さんがいろんな質問をしてくれて、何気ない会話の中からでもどういうものを作りたいのか、お店のコンセプトを話すと、どんどんイメージカラーとか引き出してくれて、しっか内側から固めていってくれるような安心感がありました。そして、提案されたロゴがめちゃくちゃ良かったんです。意図を汲み取ってくれて、ちゃんと小麦にも見えるし、木として地域に根づく意味も見えてくる…なんというか…
「これしかない!」??
そう!もう「これしかない!」 !!
ロゴから関わりがスタートしたのですね。今はペーパークラフトや包装関係でやりとりす ることが多いですね。これまた歴史がありそうです。
そうですね。僕がどこかで買った動物の形をくり抜いたペーパークラフトがカレンダーになるものが可愛いなと話した記憶があります。。でも、意外といちばん最初のノベルティ は「パンを食べる時に使うもの、関わるもの」が良くて、1周年はパンの保存袋なんです。
日々いろんなアイデアを集めている…大事。パンの保存袋!気になる〜絶対かわいいな…欲しい。
ヽTAK BAGERI MELノベルティの歴史 ノ
1年目:パンの保存袋
2年目:リベイクに使うスプレーボトル
3年目:忙しすぎて記憶なし、作ってないかも。
4年目〜10年目 :ペーパークラフト(ダーラナホース)



歴代のダーラナホースはお店のあちこちに飾られていますので
是非、店頭でご覧ください〜


そして、また周年がやってきますね。
2026年5月で12年目ですかね…。
なにか企みがありますか?
おもしろいことが浮かんだら…ありきたりなものはやだなあ…馬頭さんがなにか案をだしてくれないかなあ笑 なにかいいのがあったら笑 また連絡しないとなあ…。
次の周年祭も楽しみです!
10年目の変化
10年目にTAKは『CAFE』→『MEL』に変わりましたね。計画があったのでしょうか?なにか心境の変化がありましたか?
丸10年で一区切りでもあったので、進化していくか変化していくか考えたときに〈変化〉を選んだという感じです。ありがたいことにお客さんもどんどん増えたきたので、製造量をもっと増やさないとなと思っていたんです。よく言われていたのが〈午前中に売り切れるパン屋〉 笑
良いタイトル候補が….〈午前中に売り切れるパン屋〉
元ってつけてください笑 〈元:午前中に売り切れるパン屋〉 で笑
厨房も広くなりましたよね!
製造量を増やしたい思いから、イートインのカフェスペースをクローズして、厨房を増築する方向に舵を切りました。そして「なにか個性をだしていかないとなあ」とも常々思うなかで、もともと小麦へのこだわりを大切にしてきたので、より小麦に力を入れるという意味で自家製粉できる製粉機を導入したり…。
そこで、名前も『CAFE』→『MEL』へ。お話を伺ったときに 『MEL』になってどう変化するんだろうと私もワクワクした記憶があります。
名前も変えちゃったほうが切り替えられるかな〜と。気持ち的に。馬頭さんにもお世話になりました。新しいロゴを作ってくれたりして。


気持ち大事…(噛み締める)ロゴはよく見ると「あ、木が変わっている!」とか、発見が楽しかったです。お客さんの反応とか変わりましたか?
そう。気持ち大事(噛み締める)午前中で売り切れるパン屋は一応卒業して、イメージ的には変えられたのかなあと。夕方しか来れないお客さんにもちゃんと買ってもらえるようになって地域に根づくパン屋さんになってきたかなあと実感しています。
そんな上原さんが一番おすすめのパンはなんでしょうか。
そうですねえ…パネットーネと言いたいところなんですけど、カンパーニュ。自家製粉の小麦や製法を詰め込んだ。カンパーニュは元々オープンの頃から作っているんですけど、日々進化していますから…(にやり)
カンパーニュ!確かに美味しい。私も何度か購入したことがあります。パネットーネはずっと作られているわけではないんですね?!
そうですね。4年前から作り始めました。
4年前?結構最近ですね…
あのパネットーネのはじまり
きっかけは本場のパネットーネを食べたこと。香りと食感に衝撃を受けて、自分でも作ってみたいなあと思ったんです。でも、本格的なパネットーネの作り方の本が日本になかったんです。
ええ!?道がなかったんですね…。どうされたんですか?
海外から専門書を取り寄せて… それから…
まさか上原さん、英語もできる…!?
いやそれができないんです笑 できないんです笑 地道に翻訳しながら…Googleさまさま…本を見てどうにか真似してつくるんですけど、失敗ばっかりで…少しずつ形にはなって いるような気はしていたんですけどね。ちょうどそのくらいに日本でコンテストがあり賞をもらえたんです。その1年後ぐらいに国内で世界大会に向けた選考会があり、チョコレート部門で優勝しました。そして、世界大会〜という流れです。なので、振り返るととても苦労した思い出です笑
研究、研究の日々だったんですね。
そうですね。ありがたいことに代表に選ばれたからこそ…向上心があり続けています。20年以上パンをやってきてここまで時間を割いて作りたいと思うものに出会うと思わなかったです。うん…ほんとに… 。
自分でもびっくりしている感じですか?
びっくりびっくり笑 パネットーネの難しさが面白いと感じましたね。答え探しをするような感覚。
審査はどんな感じで行われるんですか?
審査自体は閉ざされた場所で行われました。(いわゆるブラインド審査)
審査員が自分の食べているかもどうかもわからないということですね。ドキドキだ。ひとつ気になるのが、国をまたぐと、気候が影響しそうですね。酵母とかの扱いが繊細なイメージがあります…。
審査の中で重さの規定もあって、プラマイ30gだったらOKなんです。うちの工房で焼いているときは全然大丈夫だったんです。イタリアで焼いたら…次の日めちゃめちゃ軽くなっ ていました笑 ミラノのほうだったので乾燥が笑 水分がかなり飛びました。ビビりながら、少しずつ材料を追加…追加…した記憶です。
そういうことが起きるんですね〜。そうですよね〜。海外ならではですね。
賞を取って注目していただいて取材も増え、ありがたいことにお客さんが増えたなという実感はあります。なんというか背筋が…背筋が伸びましたね笑
パネットーネの世界大会Coppa del mondo del panettone 2024(コッパ・デル・モンド・デル・パネットーネ)」の様子





上原力の、頭の中。
先程お話を伺ったパネットーネは独学ということでしたが、パン職人にはいつからなりたいな〜と思っていたんですか?
元々いろんなことに対して長続きするタイプじゃないので、ここまでよくなにかが続いたな…と感心しています。 小学生の頃に家庭科でパンを作る授業があり、バターロールを作ったんです。ふくらんだ… ぷよぷよした感触がとても心地よく感じたり、焼いたときのバターの良い香りがずっと記憶に残っ ていて、高校の進路を決めないといけない!というときに「やってみたいな」という軽めの気持ちからでした。
私も好きです。パンの感触ってきもちいいです。ずっと触っていたいです。
そうです。そんな気持ちだけだったんですけど、専門学校に入ってみたら知らないパン だらけでびっくりしました。食パン、あんぱん、クリームパンだけがパンだと思っていましたからね。ドイツパン…フランスパン…クロワッサンはクロワッサンでも食べたことのないパリパリ感..こんなにあるのか…こんなものが作れるのか…と。
そこからパンの世界にどんどんのめりこんで… (真面目モード)
いや、どちらかというと遊んでしまうほうで…笑 兄と住んでいたこともあって、飲んだらね…朝起きれなくて…笑 1分でも遅刻したら教室に入れない学校だったので…笑 うん…笑
意外とそういうタイプ?!笑
学校の先生方が一番自分の現状に驚いていると思います笑 代表に選ばれたときも、連絡をいただいて嬉しかったですね。知っている限りだと、当時同じクラスの中で今でもパン屋をやっているのは自分と…奥さんぐらいですね。
(驚き)奥さまも同じ学校なんですか?!専門学校からのお付き合いなんですね。
そうです、そうなんです笑 一般的な職業…いわゆるサラリーマン的な仕事とはかけはなれた異常な状況を理解してくれてありがたい存在です笑
いい夫婦だな…(工房の中の奥様に目を向ける…いつもにこやかに出迎えてくれる優しい奥さま)
パンの話ばかりになってしまいました。野暮な質問ですが、上原さんはパン以外になにか興味があることや趣味とかありますか?
…ないです。よく聞かれますが、ないです笑 趣味は何を定義として趣味というのでしょうか…。
〜考える時間〜
ふむ…。趣味…。好きなこと…。あ、好きな歌手は誰ですか? (…とか?)
それでいうとミセスですね笑 子どもがハマっていると自然と聞いちゃいますよね。子どもたちと今度ライブも行きますよ。
ミセスのライブ?当たるの大変そう!すごいですね!(ベイベー大人になんかなるもんじゃないぞツゥアラス トゥラ)
あと、社会人サッカーもよく見ます。東京都2部とかのチームを見ています。応援したいんですよね、自然と見てしまいます。
結構コアなチャンネル!
〜このあとサッカー談義〜
あら、日も暮れてきましたね…。
TAKはお店の立地的に住宅街ということもあり、どこかの通り道でもないところにあるから、「行ってみたいな」と目掛けてきたもらえるような、思ってもらえるようなお店になりたいですね。
先日カメラマンの中村さんとも話したのですが、近所にあってほしいお店ランク上位です。
そう思ってもらえることがとても嬉しいですね!
よかったら、最後にこれからの展望を教えてください。
コンパクトに、夫婦で無理なく回せるくらいの規模でやっていきたいなって思いはありますね。将来のことも見据えながら、自分のペースでちゃんと自分の表現ができるパンを作りたいんですよね。そのために、まずは土台をしっかり整えつつ、TAKっていうブランドとしての強さも少しずつ上げていけたらいいな。ゆくゆくは、薪窯とか石窯も持ちたいなっていうのもあって。場所も、今ここにずっといるって決めきってるわけじゃなくて、例えば、熊本の山の上とか、そういうロケーションもいいなって。山のパン屋さん。馬頭さんいい場所を知っていますかね笑 また話さないとな。
熊本のディープないいところ知っていそうです笑
最終的には、スローライフ寄りというか、2人で無理せず長く続けられる形にしていきたいんですよね。
ありがとうございます。いいお話を聞けました。またパンを買いに来ます。
また来てください。ありがとうございました。

かつて家庭科室で触れた、あのぷよぷよとしたパンの感触。そのはじめの衝撃を道標に、言葉もわからない専門書をひたすらめくる。ストイックな人というよりは、背伸びせず、急ぎもせず、すきなことに夢中な優しい人という印象。ゆっくり発酵し温度や環境に寄り添いながら、やさしく全体をふくらませていく…ONDOはこれからも、いち酵母のような存在として、柔軟に関わり続けることができたら嬉しいです。
TAK BAGERI MEL 上原力さん
鹿児島市武岡の住宅街中にある黄色い壁が目印のパン屋。 鹿児島市武岡4-20-1 >鹿児島中央駅から車で10分 TEL:099-298-5966 FAX:099-298-5996 営業時間/7:30-18:00 定休日/毎週日曜日.月曜日
https://www.instagram.com/tak_bageri_mel/?hl=ja
オンドの仕事:ロゴデザイン/ パッケージデザイン/ VPツール / ノベルティデザイン等
